この記事について

仕事でなかなか成長できないと感じている方、部下や後輩の成長に悩んでいる方に向けて書いています。

先に結論を書くと、最初から「できる人」であることよりも、挑戦し、実行し、その経験を振り返って次に活かせるかどうかの方が、長い目で見た成長を大きく左右すると感じています。メンバーやPM・PLをマネジメントする中で、「できるようになる人」には共通するプロセスがあると気づいたので、今回はそれを紹介します。

評価しているのは、結果より「挑戦を選んだこと」

自分が評価しているのは、最初からできる人だけではありません。挑戦し、経験から成長できる人を評価しています。

仕事を任せる際は、事前にそのハードルがどの程度高いかを見極めた上で、本人にやるかどうかを確認します。そして、本人が「やる」と決めた時点で、その挑戦そのものを評価するようにしています。結果が出る前の、この「やる」という選択自体に価値があると考えているからです。

ハードルを見極めずにいきなり任せてしまうと、本人にとっては挑戦なのか無茶振りなのか区別がつかなくなります。事前にすり合わせをした上で本人が「やる」と決めているからこそ、その後の結果を、成功でも失敗でも一つの経験として受け止めやすくなるのだと思っています。

撤退ラインを、本人に決めてもらう

「やる」と決まったら、次は「いつまでにできる見通しか」「できなかった場合に助け船が必要か」「サポートありでもやり切りたいのか」を、本人に考えてもらいます。これによって、裁量と責任の範囲が明確になります。

「自分で背負いきれないなら相談して、責任を按分してくれ」と伝えています。逆に、何も相談せず自分の裁量で進めるなら、その判断も本人の責任として捉えます。この線引きがあることで、任せる側も安心して任せられますし、本人にとっても、自分がどこまで背負っているのかがはっきりします。

基本に忠実に実行し、経験の引き出しを増やす

進め方としては、まず基本に忠実に実行してもらうことを重視しています。基本通りにやって成功すれば成功パターンが増え、失敗すれば失敗パターンが増える。それを振り返って次に活かすことで、経験の引き出しが少しずつ増えていきます。

挑戦を推奨している一番の理由は、この成功・失敗を含めた経験そのものが得られるからです。自分がすべてを背負って根性で成功させた経験は、正直なところ再現性のある成功例としては扱いにくいと思っています。それよりも、メンバーやPM・PLが一つずつ経験を積み重ねていく過程の方が、この記事で伝えたい「成長」の本質に近いです。

報連相の変化: 判断を仰ぐ→相談する→自走する

成長の過程がよく表れるのが、報連相の変化です。最初は判断を仰ぐところから始まり、徐々に「基本ではこうだと思うが、今回はこうした方が良いのでは」と自分の考えを持って相談できるようになっていきます。さらに成長すると、「自分はこう判断したので、この方針で進めます」と、自分で決めて進められるようになります。

PM・PLやメンバーへのタスク付与でも、任せた範囲を報告しながら自分で判断し、最後までやり切ったときに「できるようになった」と感じる瞬間があります。判断を仰ぐ側から、判断を報告する側へ。この変化こそが、成長を一番実感できる場面です。

失敗そのものより、何が足りなかったかを言語化できるか

評価しているのは、失敗したかどうかそのものではありません。何が足りなかったのかを言語化し、次の行動を変えられるかどうかです。

反省しても、具体的に何が悪かったのか分析できないと、経験を次に活かしにくくなります。また、うまくいかなかった原因を顧客やメンバーなど他人にだけ押し付けてしまうと、そこで成長は止まってしまいます。

ここで大事にしているのは、「自分事にする」ことと、何でも自分の責任にすることは違う、という点です。自分が変えられる部分はどこだったのかを考えることこそが、「自分事にする」ということだと思っています。

悪かった点: 背負わせすぎると、挑戦が追い詰めに変わる

一方で、注意している点もあります。自分の能力以上の仕事を背負いすぎると、それは挑戦ではなく、本人を追い詰めることになってしまいます。失敗した際に「自分の能力が低い」で終わってしまうと、自己肯定感を下げるだけになり、次につながりません。

だからこそ、事前にハードルを見極めることや、撤退ラインを一緒に決めておくことが重要になります。挑戦と無理は紙一重で、その境目を見誤らないようにすることも、任せる側の責任だと考えています。

「できる人」と「できるようになる人」の違い

改めて整理すると、最初から「できる人」と、経験を積んで「できるようになる人」は別物です。

基本を実行して経験を積む人と、自分なりのやり方にこだわって基本を飛ばしてしまう人。基本を飛ばしてしまうと、うまくいってもいかなくても「なぜそうなったのか」が言語化しにくく、次に活かせる形として残りにくくなります。

失敗を振り返って次に活かす人と、失敗の原因を周囲に求めてしまう人。原因を外に求めてしまうと、その場は楽ですが、同じ場面で同じようにつまずくことになりがちです。

相談しながら判断の範囲を広げていく人と、いつまでも何でも判断を仰ぎ続ける人。判断を仰ぎ続けること自体が悪いわけではありませんが、そこにとどまり続けると、任せられる範囲もいつまでも広がっていきません。

こうした違いは、一つひとつは小さなものですが、積み重なるほど時間が経つにつれて大きな差になっていきます。

まとめ

できるようになった人には、より大きな裁量や役割を渡せるようになります。組織運営を一緒に考えたり、施策を進めたり、他のメンバーの育成を担ってもらえたりする場面も増えていきます。

そして最終的には、上下関係ではなく、同僚や戦友のように同じ目線で組織を作っていける関係になる。これが、成長を見届ける中で一番嬉しい瞬間です。最初から「できる人」を求めるのではなく、挑戦し、経験に変え、任せられる人になっていく過程そのものを、これからも大事にしていきたいと思っています。