この記事について
仕事を抱え込みがちな方、仕事を頼まれると断れない方、仕事の優先順位付けに悩んでいる方に向けて書いています。
先に結論を書くと、仕事ができる人は、依頼された仕事をそのまま受け取っていません。自分の仕事として一度整理し直してから、動き出しています。これは「仕事を断れる人になろう」という話ではなく、依頼された内容を自分なりに整理し、必要なものを必要な形で前に進められる人になろう、という話です。
「できます」だけでは終わらない人たち
エンジニア・PM・PL・マネージャーとして仕事をしてきた中で感じるのは、「できます」だけを返す人と、「どちらを先にやりますか?」「これはメンバーに振ってもいいですか?」と確認を挟める人の違いです。
後者は、依頼する側から見ても安心できます。ただ依頼を受け止めるだけでなく、期限・優先順位・リソースを踏まえて相談してくれるからです。この違いは、仕事の量そのものよりも、依頼をどう受け取っているかの差だと感じています。
期限を軸に、4段階で考える
仕事を依頼されたとき、自分がやっているのはだいたい次のような整理です。
- 自分が持っているタスクの優先度と空き時間を確認し、リスケできないかを考える
- それが難しければ、メンバーの空き状況や、その仕事を経験として任せたいかどうかを考える(任せる場合は、対応するためのバッファも合わせて考える)
- それでも難しければ、自分で対応するか、割り込んできた仕事の期限を延ばせないか調整する
- それもできなければ、基本的には「無理」と判断して断る
自分のリスケ、メンバーへの委譲、期限交渉、断る。この順番で選択肢を潰していくことで、感情ではなく期限を軸にした判断ができるようになります。
この順番には理由があります。最初にリスケを検討するのは、自分の持っているタスクの優先度なら自分が一番把握しているからです。次にメンバーへの委譲を検討するのは、単なる作業の付け替えではなく、その仕事がメンバーにとって経験や成長の機会になるかどうかも合わせて考えたいからです。それでも難しいときにようやく期限交渉に進み、最後の手段として断る。この順番を飛ばして、いきなり「無理です」と断ってしまうと、本当は調整できたはずの選択肢を見落としてしまいます。仕事が集まりやすい人ほど、この整理を早い段階でやっているように見えます。
依頼内容そのものを疑ってみる
もう一つ大事にしているのが、依頼内容そのものを疑う視点です。「そもそも急ぐ必要があるのか」「本当にやる必要があるのか」「これは自分たちの管轄なのか」。ここまで整理すると、仕事そのものが軽くなることがあります。
複数人で依頼や相談を整理していく中で、「急がなくてもよくないか」「そもそもやらなくてよくないか」「自分たちの管轄ではないのではないか」という結論になることも実際にあります。依頼された時点の情報だけで反射的に受け取るのではなく、一度立ち止まって前提から確認する。これも、依頼をそのまま受け取らないことの一部だと思っています。
依頼する側も、常に正確な前提や緊急度を伝えられているとは限りません。依頼した時点ではその人なりに急ぎだと感じていても、こちらが背景を聞き返すことで、実は数日待てる話だったと分かることもあります。この確認作業を面倒くさがらずにできるかどうかも、依頼をそのまま受け取らない姿勢の一部だと感じています。
受けすぎることが、必ずしも悪いわけではない
ここまで書くと「忙しくならないことが正解」のように聞こえるかもしれませんが、そうは思っていません。仕事を受けすぎること自体は、必ずしも悪いわけではないです。挑戦や経験、評価につながるのであれば、あえて忙しくなることにも価値があります。
仕事をこなし続けることで信頼が積み上がり、より大きな仕事や新しいチャンスにつながることもあります。振る側の見積もりが甘く、実施した作業が後から不要になってしまうこともありますが、それも短期間でパフォーマンスを出せるという信頼や評価につながる場合があり、一概にマイナスとは言えません。
つまり、「忙しさそのもの」を判断基準にしないということです。忙しいから断る、暇だから受けるという単純な判断ではなく、その仕事が自分やメンバーにとってどんな意味を持つのかを踏まえて受けるかどうかを決める。大事なのは、何でも無条件に受けることではなく、受ける理由を自分の中で持てているかどうかです。
早めのアウトプットが、依頼する側の安心につながる
整理して動き出した後の話も一つ触れておきます。期限より早く、完成度が低くても途中でアウトプットを出せる人は、依頼する側からすると非常にありがたい存在です。
急ぎの仕事ほど方向性や最終成果がブレやすいため、叩き台を早く出してもらえると、方向修正や期限調整を早い段階でできます。個人が考える100%の完成品を期限ギリギリに出されるより、途中でも早めに確認できる方が、依頼した側としても仕事を進めやすくなります。こうした報連相ができる人には、また仕事をお願いしたいと思うものです。
悪かった点: 疲弊するし、無駄になることもある
もちろん良いことばかりではありません。仕事を受けすぎることで、身体的・精神的に疲弊することは実際にあります。振る側の見積もりや確度が甘く、実施した作業が後から不要になることも珍しくありません。
それでも、リスケも調整もできない場合には、きちんと断る必要があります。何でも受ければいいわけではなく、断るという選択肢も含めて整理した上で判断することが大事です。
まとめ
依頼された仕事をそのまま「はい、やります」と受け取る人と、条件を整理して受ける人。「できます」だけ答える人と、期限・優先順位・リソースを踏まえて相談できる人。この差は、仕事の量ではなく、受け取り方の差です。
仕事ができる人は、単に仕事を抱え込まない人ではありません。仕事を整理し、必要なものを必要な形で前に進められる人だと思っています。期限を軸に、自分のリスケ、メンバーへの委譲、期限交渉、断るという選択肢を持ちながら、依頼内容そのものにも疑いの目を向ける。この整理の習慣を、これからも大事にしていきたいと思っています。