この記事について

見積もりや工数管理に悩んでいるエンジニア、PM・PLの方、管理職の方、見積もりの精度を高めたい方、属人的な見積もりから脱却したい方に向けて書いています。

先に書いておくと、経験があっても見積もりは外れます。この記事では、見積もりの精度を上げるための研修に参加した経験から、見積もりのブレとどう向き合うかについて考えたことを紹介します。

見積もり精度向上の研修で感じたこと

過去に、見積もりの精度を上げるための研修に参加したことがあります。研修の中では、見積もりを点数化して評価する過程があったのですが、そこで実感したのは、評価者の能力や経験によって判断に差が生じるということでした。

同じ評価基準を使っても、評価者が想像できる範囲は人によって異なります。そのため、結果が完全に一致するわけではありません。これは、見積もりの判断軸には経験を積んでも悩む部分が残るということを、改めて確認させられる経験でした。

見積もりがブレる理由

見積もりは、担当者の能力、経験、重視するリスクなどによってブレが生じます。たとえば、過去に同じような案件を実施した実績があれば、それは有力な判断材料になります。一方で、過去に顧客に振り回された経験があれば、リスク回避のためにバッファを積みたくなる場合もあります。

他チームが直近で同様の案件を実施していて、利用するソリューションの仕様変更によって想定以上の工数がかかったと分かれば、その情報は見積もりに反映すべきです。同じ作業内容でも、チームによる生産性の違いによって必要工数が変わることもあります。前提条件をそろえたとしても、仕様変更やチームの生産性など、事前には確定できない変数が残ります。見積もりとは、こうした無数の変数がある状態から、前提条件を整理して不確実性をどれだけ減らせるかという作業だと捉えています。

作業を分解し、過去実績と比較し、複数人で見積もる

実際の見積もりでは、作業を小さな単位に分解し、それぞれのボリュームを見積もって積み上げていきます。そのうえで、過去実績と比較し、複数人で見積もりを出して数字のブレを確認します。

ここで大事なのは、複数人で見積もりを出す目的は、単純に平均値を求めることではないという点です。ブレが大きい箇所は、見落としやリスクがある可能性を考えて注視します。数字が一致しないこと自体を問題視するのではなく、なぜそこでブレが生じたのかを確認する手掛かりとして使う、という考え方です。

低すぎる見積もりの方が怖い

見積もりが低すぎる場合、予算や工数が不足し、利益や現場の持続性を損なう可能性があります。自分はこちらの方を特に警戒しています。

正当な金額で受注できない場合、無理に価格競争をするのではなく、スコープ調整によって対応できないかをまず考えたいと思っています。価格だけを理由に無理な受注をすることは、自分たちのブランドを下げることにもつながると考えているからです。顧客向け、社内向けのどちらの見積もりであっても、妥当な落とし所を見つけることが重要です。

それでも、今も悩む部分がある

ここまで色々と書きましたが、見積もりの判断軸については、今も悩む部分が残っています。完璧な見積もり手法を持っているわけではありません。見積もりを確定値として扱うのではなく、前提条件に基づく予測として扱うようにしているのも、ブレが生じること自体は避けられないという前提に立っているからです。

まとめ

見積もりは、経験を積んでも外れます。それ自体を悪いことだと捉えるのではなく、前提条件と不確実性を共有し、ブレが生じた理由を確認しながら、妥当な落とし所を探っていくことが重要だと考えています。

見積もりの精度を上げることだけを目指すのではなく、作業分解・過去実績・複数人での見積もりを組み合わせ、ブレの大きい箇所をリスクや見落としの手掛かりとして扱う。この姿勢が、属人的な見積もりから一歩離れるための現実的な方法だと思っています。