この記事について
個別株投資をしてみたい方に向けて書いています。
先に結論だけ書いておくと、正直パフォーマンスだけを考えるなら、インデックス投資一択だと思っています。前回の記事でも書いた通り、積立は忘れるくらい淡々と続けるのがちょうどいい、というのが自分のスタンスで、そこは変わりません。ただ、それだけだとちょっと味気なく感じませんか。本来、投資は味気なくていいはずなんですが、漠然と投資を始めたとき、デイトレとか、短期間でいくら儲かったとか、テーマ株(最近だと半導体とか)に興味や魅力を感じる人は一定数いると思うんです。
こうした短期の値動きから利益を狙う行為は、一般的に「投機」と呼ばれ、企業の成長に資金を投じて長期的なリターンを得る「投資」とは区別されます。それで実際に食べていけるならいいんですが、多くの人にとっては再現性の低いギャンブルに近づいていきます。頭ではわかっていても、なんとなく刺激が欲しくなる気持ちはすごくわかります。
そこで今回は、「推し株」という目線で個別株を始めることをテーマに書きます。投機のような値動き狙いではなく、応援したい企業を持つという形であれば、資産形成の本筋を大きく崩さずに、個別株ならではの楽しさも味わえるはずです。
私の個別株投資歴
個別株投資を始めてから5、6年ほどになります。旧NISAはやっておらず、新NISAから制度を使い始めたので、実は新NISAより個別株投資の方が歴が長いです。個別株は特定口座で、優待目的で買い始めました。積立投資と違ってNISAの非課税枠は使っていない分、利益が出れば税金もかかりますが、そこは推し株を楽しむための必要経費だと割り切っています。
買う前にやっていること: 意外と地味な企業研究
推し株といっても、なんとなく好きだからという理由だけで買っているわけではありません。個別株を買う際は、四季報や企業のIR情報、決算情報などをひと通り見た上で、買い時か、割安かをある程度確認してから手を出すようにしています。四季報には業績の推移や今後の見通しがコンパクトにまとまっていますし、IR情報や決算資料を見れば、その企業が今どんな戦略で、何に力を入れているかが見えてきます。あとはテーマ的に今後盛り上がりそうな企業を探したりもします。いわゆる企業研究です。
正直、これは結構大変な作業です。決算資料は企業によって分量も形式もバラバラですし、複数の情報源を横断して確認するのはそれなりに時間がかかります。最近は情報を集めて生成AIに投げて要約してもらう、という進め方をすることも増えました。時間の節約にはなるのですが、ただ、最終的なチェックは人の目でやる必要があると思っています。要約は便利ですが、判断そのものを丸投げするのはリスクがあります。あくまで一次情報を素早く整理してくれる道具として使い、最後に「買うかどうか」を決めるのは自分自身、というスタンスを崩さないようにしています。
推し株の「買い要素」
一方で、推し株ならではの買い要素というものもあります。
例えば、皆さんは牛丼チェーンに行きますか。行く方は、その中で一番好きなお店はどこでしょうか。そのお店の株主優待がもらえたら、ちょっと嬉しくないですか。そして、その企業が成長する、あるいは潰れずに続いていくというのは、単純に嬉しいことだと思います。
推し株の買い要素は、まさにそういうところにあります。私自身も、牛丼チェーンから一銘柄を保有していて、応援しています。少なからず推し株として買うのであれば、あなたはそのサービスや企業の情報をすでに知っているはずです。普段どんな新商品を出しているか、店舗が増えているか減っているか、客層はどう変わってきているか。日常生活の中で自然と入ってくるこうした情報は、まったく知らない企業に投資するよりも大きなアドバンテージになります。四季報や決算資料を読み込む前の段階で、すでに一歩リードしているようなものです。
悪かった点: 長期投資になるので、株価の上下に振り回される
企業を応援する、優待をもらうという目的だと、自ずと長期投資になります。企業によっては、決算のたびに売上や利益が良かったり悪かったりします。そういった決算やニュースは、少なからず株価にも影響します。なので、保有している間にマイナスになることも当然あります。長期で保有していると、そうした決算やニュースを見る機会も増えますし、それによって気分が落ち込むこともあるでしょう。
積立で淡々とインデックスを買っているだけなら、個別の決算発表をいちいち気にする必要はありません。ですが推し株の場合は、応援している企業だからこそ決算やニュースが気になってしまい、結果として株価の動きを見る回数も自然と増えます。そういう意味では、決算やニュースの影響をバランスよく分散して受け止められるインデックス商品の方が、パフォーマンス面でも、企業研究にかかる時間の面でも優れていると思っています。それでも、推し株のメリットとデメリットを理解した上で付き合うのは、単純に面白いというのが自分の意見です。
具体的な数字: 今のところ全部黒字、でも売る予定はない
私は長期保有が前提なので、基本的に売りません。最近は株高なこともあって、保有している推し株企業は大体10社くらいで、今日時点ではすべて黒字です。
ただ、赤字になることも当然あります。それでも企業を応援することが目的なので、手放すことは当分考えていませんし、むしろ安くなるなら買い増す方針です。だって、その企業が伸びると思って買い始めたわけですから。値下がりしたからといって慌てて売ってしまうと、応援している意味そのものがなくなってしまいます。売るとしたら、その企業を応援できなくなるくらい許せないことが起きたとき、くらいだと思っています。
あくまで自己責任で、インサイダー取引には注意を
最後に一つだけ。この記事は個別株投資を勧めるものではなく、あくまで自分がどういうスタンスでやっているか、という自己責任の範囲での話として読んでもらえたらと思います。
あえて言うまでもない気もしますが、応援したい企業の情報を人より詳しく知っているからこそ、インサイダー取引には気をつけてください。関係者として知り得た未公表の重要情報をもとに売買することは、推し株かどうかに関係なく法律で禁止されています。応援したい企業に勤めていたり、取引先として関わっていたりする場合は、特に注意が必要です。あくまで自分で調べられる公開情報の範囲で企業研究をする、というのが大前提になります。
まとめ
パフォーマンスだけを見るなら、積立でインデックスに淡々と投資するのが一番効率的だと今でも思っています。ただ、それだけだと物足りなさを感じる人がいるのも自然なことです。そういう方には、短期の値動きを狙う投機ではなく、応援したい企業を「推し株」として持つくらいの距離感が、資産形成の本筋を崩さずに刺激も得られる、ちょうどいいバランスなんじゃないかと思っています。
資産形成の軸はあくまで積立に置きつつ、余力の範囲で好きな企業を推し株として持つ。この記事がそのくらいの温度感で個別株に触れてみるきっかけになれば嬉しいです。