この記事について

投資を始めたものの資産が増えず焦っている方、「もっと収入があれば投資できるのに」と考えている方、節約が苦手な方、無理なく資産形成を続けたい方に向けて書いています。

先に結論を書くと、私が3年間資産形成を続けてきて一番大事だと感じているのは、投資先選びよりも「入金力」です。入金力とは、毎月投資に回せるお金のことです。収入は短期間でコントロールしにくいものですが、支出は今日からでも見直せます。「収入が増えてから投資する」のではなく、「今の環境で入金力を高めることから始める」というのが、この記事で一番伝えたいことです。

なぜ「入金力」が重要なのか

資産形成の話になると、どうしても「どの銘柄がいいか」「利回りが何%か」といった投資先選びの話に注目が集まりがちです。もちろんそれも大事な要素ではあるのですが、資産形成の結果を左右する要素を分解すると、実はもっと大きな影響力を持っているのが「入金力(いくら投資に回せるか)」です。

資産形成の結果は、ざっくり「入金力 × 利回り × 運用期間」という掛け算で決まると言われます。このうち利回りは市場の状況に左右され、自分でコントロールできる範囲には限界があります。運用期間も、始めた時期によってある程度決まってしまいます。一方で、毎月の入金額(入金力)は、支出を見直すことで自分の意思で増やせる、数少ないコントロール可能な変数です。

同じ利回りの商品に投資するとしても、毎月の入金額が多いほど、資産が積み上がるスピードは確実に速くなります。極端な話、利回りを1%上げる工夫を探すより、月の入金額を数千円増やすことの方が、よほど簡単で効果が確実な場合も多いです。しかも、収入を増やすには転職や昇進など時間のかかる手段が必要になることが多いのに対して、支出の見直しは今日から着手できるという再現性の高さも、入金力を重視する理由になっています。投資初心者ほど銘柄選びや利回り比較に時間を使いがちですが、実はその前に見直す余地があるのは支出側だった、というのが3年やってきての実感です。

3年間、投資先選びより支出改善を意識してきた

私自身、資産形成を始めた当初は投資先が大事だと思い、そういった研究もしました。ですが続けていくうちに、資産が増えるペースを一番左右しているのは、結局のところ毎月どれだけ入金できているかだと気づき、そこから約3年間、支出改善を通じて入金力を高めることを意識してきました。

具体的にやったことは、決して特別なことではありません。携帯料金プランを見直したこと、自販機でなんとなく飲み物を買う習慣をやめたこと、外食の頻度を減らして自炊を取り入れたこと、コンビニATMで手数料を払って現金を下ろす習慣をやめたこと。どれも地味な改善ですが、こうして浮いた分を毎月の積立投資に回すことを継続してきました。

携帯料金の見直しは、一度手続きをしてしまえば以降は何もしなくても効果が続く、いわゆる固定費の改善です。対して自販機を使わない・外食を減らすといったことは、日々の意識で変わる変動費の改善にあたります。固定費の改善は一度の手間で長く効き、変動費の改善は日々の積み重ねが効いてくるという、それぞれ違う種類の効果があると感じています。どちらか一方ではなく、両方に少しずつ手をつけたことが、結果的に無理のない入金力アップにつながったと思っています。

ここで大事にしているのは、趣味や好きなことへの支出は削らないという方針です。削っているのはあくまで「幸福度の低い支出」であって、生活の満足度を犠牲にする節約は目指していません。なんとなく払っていた固定費や、習慣で発生していた支出を見直すことと、自分が本当に価値を感じることにお金を使うことは、両立できると思っています。

良かった点: 我慢の節約から、無駄を減らす節約へ

支出改善を続けてきて良かったことはいくつかあります。まず、毎月安定して投資に回せるようになったこと。そして、固定費や日々の支出を見直す習慣そのものが身についたことです。

考え方の変化としても大きかったのが、「我慢する節約」から「無駄を減らす節約」へのシフトです。最初のうちは節約=我慢というイメージが強かったのですが、続けていくうちに、なんとなく発生していた無駄な支出を見つけて削ることと、我慢して欲しいものを買わないことはまったく別物だと気づきました。この視点の転換があってから、節約に対する心理的な負担がかなり減りました。

固定費や日々の支出を見直す習慣が身についたことも大きな収穫です。一度この視点を持てると、新しく契約するサービスや買い物に対しても「これは本当に自分の満足度を上げているか」を自然に考えるようになり、支出改善が一時的な取り組みではなく、生活の中に組み込まれた習慣になっていきました。

資産が増えていく実感はもちろんですが、それ以上に、お金に対する漠然とした不安が軽減されたことの方が、日々の生活への影響としては大きかったように思います。毎月の入金額が安定していると、相場が下がった時期でも「このペースで積み立てていれば大丈夫」という感覚を持てるようになり、精神的な安定にもつながりました。

悪かった点: バランスを崩すと逆効果になる

一方で、うまくいかなかった時期もありました。特に始めた当初は、節約を意識しすぎるあまり、お金を使うこと自体に罪悪感を感じてしまう場面がありました。

入金力だけをひたすら追い求めると、今度は生活の満足度が下がってしまいます。何のために資産形成をしているのかを見失いかけたこともあり、そこで初めて「入金力を高めることと、生活の満足度を保つことのバランスが重要だ」と実感しました。

資産形成は本来、将来だけでなく今の生活も含めて豊かにするための手段のはずです。それなのに、入金額を増やすこと自体が目的化してしまうと、本末転倒になってしまいます。今は、幸福度の低い支出(なんとなく発生している支出、習慣で払い続けているだけの支出)は見直しつつ、好きなことへの支出は削らない、という線引きを意識するようにしています。この線引きができるようになってからは、節約に対する罪悪感もほとんどなくなりました。

収入アップを待つより、今できることから

資産形成のアプローチにはいくつかの考え方があります。収入アップを待ってから投資額を増やす考え方、支出改善によって入金力を上げる考え方、生活を切り詰める極端な節約、そして無理なく続けられる範囲での支出管理です。

収入アップを待つ考え方は、実現すれば効果は大きいものの、時間がかかる上に、転職や昇進のタイミングは自分の努力だけではコントロールしきれない部分もあります。「収入が増えたら投資を始めよう」と考えていると、いつまで経ってもその日が来ない、ということも起こりがちです。

極端な節約は即効性がある一方で、長続きしにくく、悪かった点で書いたような反動も起きやすいです。生活の満足度を犠牲にしてまで続ける節約は、どこかで我慢の限界がきて、逆に散財してしまうリスクもあると感じています。私自身がたどり着いたのは、この中間にある「継続できる範囲での支出管理」でした。派手さはありませんが、無理なく続けられることこそが、資産形成において一番の武器になると思っています。

まとめ

資産形成において、投資先選びよりも入金力の方が結果を左右する場面は多いと感じています。利回りの数%の差を追い求める前に、まずは自分がコントロールできる支出側に目を向けてみる。それだけでも、資産形成のスタートラインは変わってくるはずです。

収入が増えるのを待つのではなく、今の環境でできる支出の見直しから入金力を高めていく。派手さはなくても、この積み重ねこそが、無理なく続けられる資産形成の再現性を高めてくれると、3年続けてきた実感として伝えたいです。